高齢者は特に注意!家庭でできる食中毒予防 3つのポイント

『食中毒』は、菌やウイルスなどが原因で起こる下痢や嘔吐などの中毒症状のこと。最悪の場合死に至ることもあります。免疫力が低下しがちな高齢者は、発症しやすく、症状が重篤化しやすいので特に注意が必要です。最も大切なのは、菌やウイルスを体の中に入れないこと。 いつまでも食を安全に楽しむために、気を付けるべき食品や家庭でできる食中毒の予防方法を紹介します。

食中毒の発生状況

食中毒の発生件数は毎年1,000件以上、患者数は20,000人以上にのぼります。程度は軽い症状から重い症状までありますが、中には死に至るケースもあります。

食中毒の事件数と患者数

過去の食中毒の事例を見てみると、刺身・弁当・パン・ふぐ・お寿司など、事例によって原因となった食品も様々であり、原因となった菌やウイルスも多種多様です。
また、気温が高く、食べ物に菌が繁殖しやすい夏場に多いイメージがあるかもしませんが、12月~2月にかけて冬場も発生件数は多くなります。冬場は特にノロウイルスによる食中毒が増える傾向です。

高齢者が食中毒を特に注意すべき理由

高齢者が食中毒を特に注意すべき理由 高齢者は若い世代に比べると、食中毒になりやすく、重篤化しやすいと言われています。 食中毒はウイルスや菌が原因です。免疫力が高い人の体に菌やウイルスが入ったとしても、抵抗・排除することができるので発症を防ぐことはできます。
しかし、体の免疫力が低下していると、菌やウイルスに抵抗する力が少なく発症してしまうのです。 加齢により免疫力は低下していきます。高齢者でも、寝たきりの方や持病を持っている方は特に注意が必要です。

また、有毒植物を山菜と間違えて食べて食中毒を起こし、死亡する事案も過去に発生しています。 平成27年では、高齢者の誤食が原因と考えられる食中毒死亡事例が5件発生しています。
高齢者に限らず、畑や家庭菜園を行っている方や山菜狩りを行う際には、食べられるか見分けのつかない植物は採らない・食べないようにしましょう。

食中毒の原因となる菌やウイルスとその症状

食中毒の原因となる菌やウイルスは様々です。2016年に発生した食中毒の原因菌・ウイルスのトップ5を紹介します。

1位:ノロウイルス(ウイルス)<354件/11,397人>

≪症状≫
1~2日で発症し、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛などを引き起こす。発熱はあっても高熱にはならない。
≪注意すべき食品≫
カキを含む二枚貝。ノロウイルスに汚染された二枚貝を生や加熱不足で食べることで発生します。
≪時期≫
毎年11月~1月に流行(10月から増え始め、12月、1月がピーク)
≪対策≫
加熱調理、二次感染の防止(調理器具の熱湯加熱や、ウイルス感染者の便や吐物の処理に注意する)

2位:カンピロバクター・ジェジュニ/コリ(細菌)<339件/3,272人>

≪症状≫
下痢、腹痛、発熱、悪心、吐き気、嘔吐、頭痛など。
≪注意すべき食品≫
食肉(特に鶏肉)、飲料水、サラダなど。
≪時期≫
カンピロバクターは5月~7月にピーク。
≪対策≫
十分に加熱すること。

3位:アニサキス(寄生虫)<124件/1,411人>

≪症状≫
食後数時間~十数時間後に、みぞおちの激しい痛み、悪心、嘔吐。(急性胃アニサキス症)
≪注意すべき食品≫
生鮮魚介類(不十分な冷凍または加熱のもの含む)
≪時期≫
9月~10月がピーク。
≪対策≫
目視の確認、加熱、冷凍

4位:植物性自然毒(自然毒)<77件/704人>

≪症状≫
植物により異なるが、嘔吐、下痢、呼吸困難など。最悪の場合、死に至ることもある。
≪注意すべき食品≫
家庭菜園や山菜採りなどで収穫したもの
≪時期≫
9月~10月が多い。
≪対策≫
食用と確実に判断できない植物は、採らない、食べない

5位:ぶどう球菌(細菌)<36件/698人>

≪症状≫

約3時間後に激しい吐き気、嘔吐、腹痛、下痢を伴う急性胃腸炎症状。
≪注意すべき食品≫
手作り食品(おにぎり・サンドイッチなど素手で扱うもの)
≪時期≫
梅雨から夏場(6月~8月)
≪対策≫
手の洗浄や消毒。調理用手袋やラップなどを利用して直接素手で食品に触れない。

その他にも、腸炎ビブリオ、腸管出血性大腸菌など様々な菌・ウイルスがあります。
身近な食品にも食中毒となる菌やウイルスがついている可能性は大いにあります。菌やウイルスが体の中に入ってきたとしても、抵抗・排除できるほどの免疫力を保つことがとても大切なのです。

特に注意したい食品

免疫力が低下しがちな高齢者にとって、まずは体の中に菌やウイルスが入らないように予防することが大切です。
特に下記の食品を食べる際には注意が必要です。

・生肉や生卵

生肉や腸管出血性大腸菌(O157など)などの菌がついていて、重症化し、最悪の場合死に至る場合もあります。2016年には腸管出血性大腸菌による死者が10名でているほど怖い菌です。
また、サルモネラ菌なども生肉や卵に付着・汚染されている場合もあります。
生肉は、ハンバーグ・ステーキなどはしっかりと中まで火を通す、生食メニューは避けること。
卵は、生で食べることを避ける、十分加熱する、割ったらすぐ使うことようにしましょう。

・魚介類

生の魚介類は腸炎ビブリオに汚染されていることがあります。日本人は刺身など、魚介類の生食を好む人も多いです。魚介類を食べるときには、以下4点に気を付けましょう。

  • 1.生食で食べる場合には生食用であることを確認する
  • 2.流水でよく洗って調理する
  • 3.調理後はなるべく早く食べる
  • 4.食べる直前まで冷蔵庫で保管する

・弁当

一人暮らしの高齢者や、食事を作るのが難しい方は、高齢者用の配食サービスを利用している方もいるでしょう。各サービスの配送員がご自宅に手渡しで配送を行う場合、冷蔵・常温のものが多いです。配食サービスを行っている事業者で衛星管理はきちんと行われていますが、配送後は、利用者それぞれで注意が必要です。配食サービスを利用している方は下記3点に気を付けましょう。

  • 1.配達されたらすぐに食べる
  • 2.すぐに食べられない場合は、必ず冷蔵庫に入れて保存する
  • 3.残ったものをいつまでもとっておかない。

3つの家庭でできる食中毒予防

食中毒予防の3原則は、菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」ことです。

「つけない」ために、調理用具や調理方法に注意しましょう。

つけない
  • ・手を洗う、消毒をする
  • ・まな板は肉用と魚用で使い分ける
  • ・ふきんや手拭き用タオルはこまめに取り替える
  • ・生の食品と加熱済みの食品は別の容器で保存する

「増やさない」ために、食品の保存状態に注意しましょう。

増やさない
  • ・買い物をしたら寄り道をしないでまっすぐ帰る
  • ・長時間室温に放置しない
  • ・冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下に維持する
  • ・早めに食べきる
  • ・冷凍された食品を室温で解凍しない

「やっつける」ために、調理方法、調理用具に注意しましょう。

やっつける
  • ・果物や野菜を生で食べる場合にはよく洗う
  • ・包丁の柄や鍋の取っ手を殺菌する
  • ・加熱を十分にする(温めなおすときも十分に加熱)
  • ・肉や魚を切ったまな板には、洗って熱湯をかける

まとめ

食中毒の原因となる菌やウイルスは身近に潜んでいます。全ての菌やウイルスを完全に排除することはできません。しかし、普段の生活や調理時の行動などに注意を払うことで、身を守ることはできます。 特に免疫力が下がりがちな高齢者、また高齢者の食事を作る家族は、注意すべき食品や食中毒予防のポイントなどを知っておくことが大切です。正しい知識を身につけて、健康を保つようにしましょう。


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