高齢者の一人暮らしの食事における問題点とは?4つの対策を紹介

高齢の親が一人暮らしをしていると、食事をしっかりと摂れているのか心配になるものです。一人暮らしを始めたことで自炊をしなくなり、栄養バランスの偏りや、栄養不足に陥るケースは少なくありません。

■この記事でわかること

  • ・一人暮らしの高齢者が抱える食事の問題点
  • ・高齢者の食事の問題を解決するための4つの方法
 

高齢者の一人暮らしの食事における問題点

一人暮らしの高齢者は食事に問題を抱えがちです。なかでも起こりやすい問題が以下の4つです。

高齢者の一人暮らしの食事問題

高齢者は、筋力の衰えや心身の不調により、食事にまで労力を割けないケースが多々あります。さらに一人暮らしの場合、「自分の食事しか用意する必要がないので、最低限食べられればいい」と考える方も少なくありません。

しかし、食事における問題を放置したままだと、生活の質が低下や、要介護度の悪化を招く原因となります。

ここでは一人暮らしの高齢者が抱える食事の問題点を深堀りしていきます。

栄養バランスが偏ってしまう

一人暮らしの高齢者が、以下のような食生活を送っている場合、栄養バランスが偏っている可能性が高く注意が必要です。

  • パンや即席麺、お弁当などの手軽な食事が多い
  • 野菜や肉・魚を使った料理が少ない
  • 好きなものばかりを食べる
  • 同じ食事が続く

パートナーや子どもと一緒に暮らしていれば、食事の作りがいもあります。

「あの人は○○が好きだから作ってあげようかな」「今日の夕飯は○○をリクエストされたから作らなくちゃ」といったように、誰かのためであれば自然と見た目や栄養にこだわり、レパートリーも豊富になるものです。

しかし、自分のためだけに作る場合、手間暇かけても誰からの感想も得られないため、食事を作る意欲が次第に減退し、「食べられれば何でもいい」という考えに陥りやすくなります。

偏った食生活を続けると健康維持に必要な栄養素を十分に摂取できず、低栄養状態になります。すると体調不良だけでなくサルコペニア(加齢による筋力の低下)、フレイル(虚弱)などにつながります。

高齢者の栄養不足や、栄養不足によって起こる症状については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

高齢者の栄養素の不足のリスクとは?症状や対策を解説

食事の時間や回数が不規則になる

高齢者に限りませんが、一人暮らしの生活は食事の時間や回数を自分で決められるため、食事のリズムが乱れがちです。

「お腹が減っていないから夕飯はいらない」など、欠食することもあるでしょう。

食事のリズムが乱れると、必要な栄養素を十分に摂取できないだけでなく、生活リズムの乱れにもつながります。

もし夕食を食べない場合、一日に必要な栄養素を朝食と昼食で賄わなくてはなりませんが、二食で栄養バランスを整えるのは難しいでしょう。生活リズムも乱れ、食事に関する問題が深刻化するおそれがあります。

精神的な問題を抱えるリスクがある

農林水産省は、共食(二人以上で食べること)している人は、孤食(一人で食べること)している人に比べ、自分が健康だと感じたり、ストレスが少なかったりする割合が高いとするデータを公開しています。

また、高齢者の場合、孤食の機会が多いとうつ傾向になるリスクも高いです。

食事は栄養を摂取するためでもありますが、人とのコミュニケーションにも役立ちます。

同じ料理を食べても、一人で食べるのと誰かと食べるのでは気持ちが異なるものです。食事は心の栄養補給にもつながる大切な役割を持っているのです。

食事量が不足する

加齢で食欲が低下し、食事量が減ると、栄養不足のリスクが高まります。

食事量が不足すると、体づくりに必要なたんぱく質や、体を動かすエネルギーとなる炭水化物も十分に摂取できません。

すると、動こうという気力も低下し、動かないことで筋力も低下する悪循環に陥ってしまいます。

こうなると次第に歩行困難や認知症などのリスクが高まり、最終的に寝たきりになってしまうことも考えられるため、改善が必要です。

国立長寿医療研究センターも、食欲不振を放置して低栄養状態になると、サルコペニアや認知症の原因になると警鐘を鳴らしています。

加齢で食欲が低下することは珍しくありませんが、「年には勝てない」と放置していると、低栄養状態が加速してしまいます。

監修者コメント

食欲が低下して必要な量の食事が摂れない場合は、栄養補助食品の活用がおすすめです。少量でも効率良くエネルギーや栄養素が摂取できます。

高齢者の一人暮らしの食事における問題を解決するには?

「親も歳だから食事量が減るのはしょうがない」と見過ごしていると、どんどん元気がなくなってしまいます。

大切な人だからこそ、少し踏み込んで毎日の食事を改善する手段を考えてみてはいかがでしょうか。

ここでは、一人暮らしの高齢者の食事を改善する、4つの方法を提案します。

高齢者の一人暮らしの食事問題

一緒に食べる機会を設ける

孤食は高齢者の食の問題を悪化させる要因です。毎日は難しくても、定期的に家族が集まって食事をする機会を設けるのは、問題解決に有効な手段です。

家族が訪れることで食事作りにも目的ができ、食材の買い出しに行く気力も生まれるでしょう。運動量が増えると食欲もわき、筋力も回復してさらに元気になるなど、好循環が生まれます。

話題作りのために外出する機会が増えるなど、日々の活力が生まれるのもメリットです。

遠方に住んでいるなどの理由で定期的に集まれない場合は、オンラインの食事会もおすすめです。オンラインは日頃の安否確認にも活用できるので、導入して損はありません。

コミュニティに参加してもらう

家族が近くに住んでおらず、インターネット機器の扱いが難しい場合などは、地域のコミュニティに参加してもらう方法もあります。

一人暮らしの高齢者に対する「栄養バランスの偏りの改善」「居場所の提供」「見守り」の3つを目的として、高齢者サロンや自治体の活動が行われています。

高齢者サロンには食事に関係する活動だけでなく、以下のように趣味に関する活動など、幅広い選択肢があります。

■高齢者サロンの活動内容の例

  • ・会食
  • ・料理教室
  • ・健康体操教室
  • ・筋トレ
  • ・カラオケ
  • ・手芸
  • ・将棋
  • ・日帰り旅行

高齢者サロンに参加し、共通の趣味を持った友人ができれば、日々の生活にうるおいが生まれ、楽しさや生きがいを見出せるでしょう。

一人暮らしでも仲間が生まれると孤独を感じにくくなり、認知症予防にもなります。

どんな高齢者サロンがあるのか知りたい場合は、お住いの地域の福祉課にお問い合わせください。

宅配弁当を利用する

「料理をする体力がない」「買い出しに行くことが難しい」といった理由で、栄養バランスが整った食事をするのが難しい場合もあります。そこでおすすめしたいのが宅配弁当です。

宅配弁当は、栄養バランスが整ったお弁当を自宅まで配達してくれるので、必要な栄養を無理なく摂取できます。毎日決まった時間に届き、生活リズムが整いやすく、安否確認もできます。

配達員と顔を合わせてちょっとした会話をすることで、毎日の楽しみが生まれるのもメリットです。

普通食だけでなく、健康状態にも配慮したたんぱく調整食やカロリー調整食、介護食なども選べます。1食あたり350~1,000円程度で利用できるため、続けやすい価格帯を選びましょう。

なお、大切なのは食べる人が「おいしい」と感じることです。気になった宅配弁当を試してみて、味、量、価格などを総合的に判断し、継続できるものを選びましょう。

しかし、宅配弁当を取り扱う業者は多く、その中から選ぶのは大変な作業です。そこで、価格や種類、配送方法などをまとめた比較サイトを利用してみてはいかがでしょうか。

シニアのあんしん相談室は、全国の宅配弁当業者を比較できるサービスです。簡単な設問に答えるだけで、利用できる宅配弁当業者が一度に確認できます。

口コミをもとにしたランキングもチェックできるので、選ぶ際の参考になるでしょう。

宅配食事を探す

自治体の支援サービスを利用する

宅配弁当の費用負担が難しい場合は、自治体の支援サービスを利用する方法もあります。

例えば

東京都千代田区では、区内在住の65歳以上の一人暮らし、あるいは高齢者のみの世帯などに対し、宅配弁当一食あたり300円を補助してくれます。

実施の有無は自治体によって異なり、金額や条件もそれぞれ設定されています。

決められた業者から選ぶ必要があるなど制約もありますが、格安で宅配弁当が利用できるため、金銭面で申し込みをためらっている方はぜひ利用したい制度です。

実施状況や利用条件などは、お住いの自治体の窓口へお問い合わせください。

高齢者の一人暮らしの食事における問題点と対策【まとめ】

高齢者の一人暮らしにおける食事の問題点は以下4つです。

  • ・栄養バランスが偏りやすい
  • ・食事の時間や回数が不規則になる
  • ・精神的な問題を抱えるリスクがある
  • ・食事量が不足する

これらの問題は、放っておくと気力や体力の低下を招き、寝たきりになるリスクも高まります。

いつまでもイキイキと元気に過ごすには、毎日の食事が重要です。

とくに孤食は食事の問題を悪化させる原因であるため、定期的に家族で集まっての食事や、高齢者サロンでの利用など、環境の変化も考えてみましょう。

少しでも健康的な食事を摂ってほしいと思う方は、宅配弁当も検討してはいかがでしょうか。

毎日決まった時間にお弁当が届くので安否確認にもなります。費用負担が厳しいのであれば、自治体の制度を利用するのもおすすめです。

宅配食事を探す

監修者コメント

大切な人にいつまでも健やかな毎日を送ってもらうためには、日々の食事を見直しましょう。遠くに住んでいるなど、すぐに顔を出せないこともあると思いますので、宅配弁当の利用は有効な手段だと思います。

管理栄養士や医師が監修しているものが多いため、安心して召し上がっていただけるでしょう。

監修

相田すみ子

相田すみ子

寮生の栄養管理、老人保健施設、内科・整形外科などで経験を積んだ後、フリーの管理栄養士兼ライターとして活動。

今日より少し健康になれるレシピを開発したり、体と栄養の関係について多くの人に伝えたりするために、コラム執筆、本の執筆協力などを行っている。

note:https://note.com/sumiko_16

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